死んで生き返りましたれぽ 村上竹尾 ネタバレ感想
村上竹尾作、「死んで生き返りましたれぽ」は作者の実体験をもとに描かれた漫画です。不摂生な生活と過労がたたり、ある日突然、自宅で倒れて心肺停止になったあと、意識がもうろうとした状態で闘病生活を送ります。
もうろうとしたままでも感じた、周囲の人たちのあたたかさ。そして、「生きていてよかった」というやさしい言葉。生きることの深さを感じさせてくれる作品です。
死んで生き返りましたれぽのネタバレ
2年前から体調不良に悩まされ、固形物が食べられなくなり、スポーツドリンクのみで生きていた村上さん。気がついたら視界をぐちゃぐちゃで、体も口も動かない状態に。
倒れてどこかに入院している、ということだけがかろうじてわかり、誰かわからない人に話しかけられている。精神が壊れ、幼児退行状態におちいりながらも、周囲は村上さんをやさしく見守ります。
仕事ばかりしていて、体を顧みず、不摂生な生活をつづけていたためにこんなになったんだ、とわかり、自分を責めても、妹や弟は決してそのことを責めない。「どんな形でも、生きていてよかった」その言葉が届いたあと、妹が話しかけ続けているうちに、村上さんは急速に回復していきます。
何も見えない、もうろうとしていた意識がはっきりとして、お医者さんもびっくりするほどの回復力を見せたのです。
意識不明の人でも、言葉はちゃんと届いている
この漫画を読んで、病院に意識不明で運ばれた状態の人でも、相手にはちゃんと言葉が届いているということ。そして、話しかけ続けることが、どれだけ重病人にとって助かることなのかがわかりました。
村上さんが急速に回復したのは、あきらかに妹さんが話しかけ続けたからです。いろんな人が心配してくれる、ということのありがたさ。生きているということの不確かさと、大切さ。
闘病生活もまた、長くて、命が助かったけれども、イラストを描くという仕事をしていた村上さんにとって「モノの形や色がわからなくなる」という障害は「何もかも失った」と感じられるほどに辛いことでした。
それでもあきらめずに、ノートに落書きをし続けて・・・ちょっとずつ「描く」ことができるようになったのです。「死んで生き返りましたれぽ」は、回復した村上さんが描いた、「生きる」ナマのレポートでもあります。
本当に、読んでよかった、と思えた作品です。