「うせもの宿」穂積 ネタバレ感想
「うせもの宿」穂積のネタバレレビューです。和風ファンタジーでノスタルジックな絵柄の漫画です。
子供の女将さんがいる、不思議な宿とは・・・
不思議な案内人についていき「うせもの宿」へ
「うせもの宿」は、失くしたものが必ず見つかる宿であり、そこへ連れていかれる人は「何か大切なものをなくした人」でもあります。
第一話の客は、案内人・マツウラによって宿へ導かれますが、自分が何をなくしたのかさえ覚えておらず、「最近仕事のしすぎで、頭がハッキリしない」と、自分でも記憶が混乱している様子。
眉間にシワの寄った、トレンチコート。言動から、ワーカホリックタイプの男性であることがうかがえます。
宿の女将さんは・・・少女
半信半疑のまま、連れて来られた宿には、だぼだぼの着物を着た少女がいました。そして従業員たちから「女将さん」と呼ばれており、女将としての仕事をする様子もなく、客を見ても「また面倒な客を連れて来おって」と悪態をつくほど。
子供の女将がいる宿、と見て男は本当に自分がここにいていいのか、自問します。本当に、こんなところにいて、なくしたものがみつかるのだろうか、と。
男の探しものとは・・・
男が自分でも何をなくしたのか思い出せない、でも大切なもの。女将は、まるで男にヒントを与えるかのように、つぎつぎと試します。
桜茶、墨でかいた円、妻がつくった料理と同じ料理。
仕事に没頭しすぎて、家にもほとんど帰らず、一緒に食事もとらなかった日々。
「なんで別れたんだっけ?」と、しばらく思い出しもしなかった妻のことを考え、男は自分がいったい、何を探しにこの宿にやってきたのか、ようやく思い出せたのです。
なお、1巻には6人の客人がうせもの宿にやってきます。
そして、「うせもの」が意味するところが、最後まで読むとわかるでしょう。