まんが101選!

ジャンル別に人気漫画を101選!ネタバレあり。

「曽根富美子傑作選 死母性の庭」ネタバレ感想

曽根富美子作、母性を感じられない母親の問題作です!
実の我が子を愛せない、母親の心理。ふつうなら、生まれた瞬間から「かわいい」と思えるのに、そう思えなかった母親の悲劇。


曽根富美子傑作選 死母性の庭」は子供への虐待が止められない母親を描いた、非常に生々しい漫画です。

曽根富美子傑作選 死母性の庭」あらすじ

りょう子は優しい夫と結婚し、子供も生まれて幸せになれるはずでした。ですが、妊娠・出産が彼女が想像していたようなものとは、まったく違いました。世間では、子供が生まれたら母親はかわいい、愛しいという感情が自然にわいてきて、愛せるという。

りょう子が子供を産んだとき、そのような感動は一切なく、自分でも理由がわからないほどにかわいいと感じることができなかったのです。そして、子育てでも、我が子を愛しいと思うどころか、見ているだけで感情が苛ついてついつい手が出てしまう。

あまりのイライラに、飼い犬をかわりに叩いて死なせてしまいます。やがて、自分の子供なのにりょう子は毎日、虐待を続けるようになってしまい・・・

曽根富美子傑作選 死母性の庭」感想

虐待シーンがものすごい漫画なので、読んでいて具合が悪くなってきました。しかし、これが「虐待をしてしまう母親」のリアルなんだとも、感じました。曽根富美子さんは、社会で虐げられている存在、とくに子どもたちについて描く作品が多く、この漫画も

 「どうか、こんなふうに子供たちを虐待しないでほしい。自分自身を見つめなおして冷静になり、子供をかわいがる親になってほしい」という願いが込められているように思えます。

虐待をする母親、というテーマですから、母性愛をまったく我が子に感じられない母が、見ていて共感を覚えるようなところはありません。ですが、「かわいそうな人間」という視点で見ると、幼児虐待が起こる現実がわかります。

この漫画は短編形式ですから、さまざまな「母親」が描かれています。重苦しい内容ではありますが、母親なら、一度読んでおいてもいいと思います。