漫画「まんが名前のない女たち」ネタバレ感想 水槻れん
世の中の片隅で、名前も知られずに企画名だけでビデオに出演し、ボロボロになって消えていく女たち・・・
水槻れん作、漫画「まんが名前のない女たち」は累計25万部のノンフィクションを原作とした、愛に飢えて裏切られ、借金を返すために身を売った女達のリアルな姿を描いた作品です。哀しいまでの女たちのその生い立ちを知れば、名前もなく生きてきた女の悲しみがわかるでしょう。
「まんが名前のない女たち」ネタバレ
結城杏奈は19歳で企画ビデオの人気女優になっていました。彼女の生い立ち・・・それは母子家庭で多額の借金を抱え、各地を転々としながら、ついにはホームレスになってしまった、という過酷なものでした。
父親は物心付く前に蒸発してしまい、体が弱い母親は働くこともできず、逃げまわるようにしながら教会で居候させてもらい、なんとか一家が生きてきたのです。やがて、教会も親子の面倒をずっと見続けるわけにもいかず、とうとう家族で路上に暮らすように。
幼い子供が道端で食べ物を漁っている、とその姿が近所の噂になって、周囲の善意のおかげでとりあえず、無料で住む場所が提供されました。でも、そんな貧しい暮らしをしている杏奈にクラスメイトにはいじわるをされ、中学卒業と同時に働いた病院で院長におそわれてしまいます。
初めてでひどい経験をした杏奈は、多額の借金を返すためにイメクラで働き、やがてその店の人の紹介で企画ものビデオに出演するようになります。いつも笑顔で、そして何事も一生懸命にこなそうとする彼女はすぐに人気が出て、親の借金も返すことができましたが、ハードな仕事のせいで体がダメになってしまいます。
入院して検査をすると、子宮外妊娠していることがわかり、卵管摘出のため、子供が産めない体になって・・・
本当に哀しい女性の漫画
この子の人生って、一体、なんなんだろうな・・・と思えるほどに、哀しい人生を送っている女の子です。生い立ちそのものが不幸ですが、母親は彼女がやっていた仕事ややろうとしていた仕事を本当に知らなかったのでしょうか?
また、ほかにも兄弟がいるのに、彼女ひとりだけにすべてを背負わせて誰も彼女を守ろうとする人間がいなかった。
母子家庭で多額の借金があるのは大変なことですが、母親が適切な対処をすれば子供たちがこんな悲しい人生を送らなくても済んだはずです。借金は破産申告すればいいですし、生活能力がないなら生活保護もあります。杏奈が親の借金を抱えて自分の体をボロボロにしながら、借金を全額返す必要が本当にあったのかな・・・と。
杏奈が仕事のしすぎで子供が産めない体になってしまった、というのも悲惨すぎて読むのが辛かったです。